おはようございます。
本日は昨日お知らせした通り、発酵と熟成の違いについて進めて行きます。
まずは簡単なおさらいです。
発酵は、「糖類が分解されて乳酸、アルコールなどが生成されること」を指し、
腐敗は、「タンパク質、アミノ酸などが分解されて硫化水素やアンモニアが生成されること」を指しました。
それでは熟成とは一体何なのでしょうか。
最近は、「熟成肉」なるものがブームになっていたり、ウィスキーでは、「樽熟成」という言葉があります。
まずは辞書で熟成という言葉を調べてみると、以下の様な言葉が。
① 十分に熟した状態になること。
② 〘化〙 物質を適当な温度・条件の下で長時間放置して,ゆっくりと化学変化を行わせたり,生成するコロイド粒子の大きさを調整したりすること。また,溶液内化学反応の終了後,反応溶液をそのまま静かに放置し,生成した極微細な沈殿・結晶を大きな沈殿・結晶にすること。
③ 発酵したものが熟すること。特に味噌や酒などの味にうまみがでること。なれ。「味噌が―する」
熟成は発酵と腐敗と異なり微生物の作用がという言葉が出てきませんね。
そう、実は大まかにいうと発酵と熟成の違いは微生物が介在するかどうかによるのです。
熟成は酵素と外的環境(温度、湿度、時間)の総合作用によって、タンパク質が分解されてアミノ酸になることです。
熟成は「エイジング」とも呼ばれます。食品を「寝かせる」も熟成のことを指します。
何故、熟成(エイジング)が注目されるのかというと、それは食材が「美味しくなる」からなのです。
例えば、熟成肉であれば、肉そのものが持つ成分が酵素の作用によって分解されて、さらに旨味が増します。
熟成すると、筋肉が柔らかくなります。その後、タンパク質が分解されて、旨み成分といわれるアミノ酸が増えていくことになります。
ちなみに肉の熟成方法は大きく分けて2つあります。
専用の熟成庫で温度&湿度を管理する乾燥熟成(ドライエイジング)と、
真空包装して冷蔵保存する保湿熟成(ウェットエイジング)の2種類。
ドライエイジングによる熟成肉の方が、旨みも香りも高いのですが、コストが高いそう。
ファミレスなどのチェーン店で安価に提供されており、「熟成肉」と表記のあるものは、ウェットエイジングで作られた可能性が高い様です。
また、お酒の熟成は、一般的に「発酵を終えた後も、寝かせて熟成させる」という意味。
例えばワインやウイスキーは、発酵によって生まれた原酒を、樽に詰めて熟成させます。熟成させる年月によって風味が変わりますし、貯蔵庫の立地(寒冷地or温暖地)や室温、樽に使われる木の種類によって風味は左右されるのです。
つまり同じお酒でも、保管の環境が変われば無限の種類を生み出せるという訳ですね。うーん奥深い。
古いワインが高価で取引されるのは、レア度だけでなく「その年月経たなければ出せない味」があるからなのでしょうね。
最後に腐敗との違いについて。
「あれ、たんぱく質やアミノ酸が分解されると腐敗になるのでは?」という方がいらっしゃるかもしれません。
腐敗は「タンパク質、アミノ酸などが分解されて硫化水素やアンモニアが生成されること」です。
つまり熟成の期間、環境を誤ってしまうと腐敗してしまう恐れが。
お肉に詳しい人だと、「お肉は腐りかけが美味い」というそうですが、それは「アミノ酸が豊富な、熟成の最終段階が美味い」ということなのです。
熟成と腐敗は紙一重なのですね。
いかがだったでしょうか。少し理解が深まったかと思います。
うーん知れば知る程面白い。
料理における素材、味付け、調理方法という横軸は、発酵、熟成を用いることで縦軸という表現の深さを与えてくれますね。
私も身近な部分で実践したくなりました。
明日は更に「燻製」の違いを考えて行きたいと思います。
それでは。