雪室貯蔵のメリット ~電気冷蔵庫の違いとは~

こんにちは。
今日の二十四節気七十二候は以下の通り。

【二十四節気:啓蟄(3/5~3/19頃)】
啓蟄とは、土中で冬ごもりをしていた生き物達が目覚める頃のこと。
生き物たちは久しぶりに感じる爽やかな風と麗らかな春の光の中で生き生きとしています。

【七十二候:(3/5~3/9頃)】
蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)土中で冬眠をしていた虫たちが、暖かい春の日差しの下に出てき始める頃。虫とはいいますが、冬眠から目覚め始めるすべての生き物のことを表しています。

現在の南魚沼の温度は6℃。
まだまだ肌寒いですが、小鳥の声が頻繁に聞こえる様になりました。

今回は昨日の予告通り、雪室での保存と電気冷蔵庫での保存における違いについてお話をします。

まず、雪室で保存をすると湿度が違います。
冷蔵庫はものによって違いがありますが、20%~60%のものが一般的。
しかし雪室は湿度が90~100%で、室温も2℃~5℃前後(雪室のタイプにもよる)で一定に保たれます。

この湿度の違いは、保存する野菜や鮮度状態に影響をします。
電気冷蔵庫だと乾燥してしわしわになってしまう野菜は雪室だと瑞々しく保つことが出来ます。

更に野菜、米などの穀類は寒さから凍らぬ様に身を守るため、体内のたんぱく質を糖分に変化させます。これを糖化現象といいこの作用により食品が甘くなるのです。
有名な雪下にんじんが美味しいといわれるのも、この糖化現象のお陰です。

また、雪室は冷蔵庫の様に開け閉めによる温度の変化や電気による振動や光を受けない為、食品にストレスを与えず優しく保存をすることができます。
この外部からの影響を受けない状態を「静置(せいち)」というそうで、「静置」状態は、食品の旨みを増す低温熟成に最適の環境といわれているのです。

そして最後の違いが、電力消費です。
完全に天然のものであれば、電力消費はゼロ。
現代的な雪室でも冷気を活用して貯蔵をしているので相当な節電効果が見込めます。

ある統計によると、電気冷蔵を行う代わりに雪を1トン利用する冷蔵を用いることで、石油を10リットル、CO2を30kg削減すると言われています。
近代的な倉庫型の雪室一個に入れる雪の量は年間400トン~700トンとなりますので、大きな削減となることが分かります。

この様に、電気冷蔵庫との違いを知るだけでも、雪室の素晴らしさが分かるかと思います。
更に普及が進むと面白いと感じます。

さて、明日は雪室熟成についてお話をしていきます。

それでは。