フォードのマスタング 旧式

マスタング

最近、やけにマスタングが目に付く。原付で道を折り返したら、ミラー越しにマスタング。人の家に置いてあるマスタング。だいたい黒いマスタング。何故だか分からないが、私には定期的に目に付く車が変わる。先日まではランクル、少し前はハイラックスのピックアップの方。何故かその車が急に増えたんじゃないかくらいに目についてしまう。

昔はアメ車はただゴツくて、洗練された感じがないと思い、あまり好きではなかったが、今はその無駄にデカい感じやゴツさが好きだ。遊び心を感じる。今風に言うならば考え方に多少の多様性が生まれたのだと思う。ワイルドスピードの影響もあるかもしれない。また、イギリス車も好きである。ランドローバー、アストンマーティン、ベントレー、昔のミニ、ロータス、マニアックな所だとTVR。ランドローバーを除けば、実用性よりも高価でデリケートな傾向がある。実用性で言えば圧倒的に日本車に軍配が上がる。しかしロールスロイスの様にドアの中にエルメスの傘を入れてしまう愛嬌が好きだ。以前、とても仲の良かったオンライン英会話の先生(イギリス在住)が所有する車は全てドイツ車だと言っていた。ちなみにその先生は以前JPモルガンで富裕層の顧客に資産運用を担当していた。つまり金銭的に全く困っていないが、思いの外英語を教えることが楽しかったそうで、その講師収入分全てを児童施設に寄付していたという。懐が深いというのはこの様なことをいうのだろう。

以前働いていた会社はオフィスに六本木があった。出社する一つの楽しみは変わった車をたくさん眺められることだった。東京都港区の2021年の平均所得は1184万6561円。全国一位である。この国のロールスロイスの50%ぐらいがこの地域にいるのではないかというくらい、そこらじゅうにいる。また乗っている人の違いも面白い。成金くさい人、お抱え運転手、自分で運転するビジネスマンなど。フェラーリもベントレーもアストンマーティンもゲレンデヴァーゲンもたくさん通る。

ドライブスルーというと、何を思い浮かべるだろうか。ファーストフードチェーンの路面店だろう。しかしここ六本木は違う。けやき坂沿いにあるルイ・ヴィトンにもドライブスルーがあるらしい。お昼休みにそこを通りがかると何故か高級外車を路肩に停めた顧客らしき人が車の側で店員のお姉さんから商品とおぼしき紙袋を受け取っているのだ。何もドライブスルーは数百円単位だけではないらしい。ここ六本木では数十万、いや数百万円の商品をドライブスルー出来るらしい。しかも停めている場所は横断歩道のすぐ目の前。警察が通りがかってもスルーしている。ここはお金持ちのみが許されるグレーゾーンだ。

今夏久米島に滞在していた時、気付いたことがある。高級車を見かけない。考えてみれば当たり前で、島は海に囲まれており、車が錆びやすい。また、塩害といえば雪国でも発生する。道の雪を融かす為に巻かれる融雪剤は塩化カルシウムや塩化ナトリウムが主成分で、雪に混ざった融雪剤の上を走るとそれはある意味海水の上を走る様なものだ。下部の洗車やコーティングで錆を防ぐ必要がある。雪国で暮らしていた頃、地元の人に”雪国の中古車はあまり買わない方がいい”と教えられた。

横浜にある日産のグローバルヘッドクォーター(要するに本社)。広々と車が展示されている。新車達の中には6,70年代の車も数多く展示されており、私の前頭前野が刺激される。突然の場内アナウンス。心なしか語尾が強い。何かのお願いの様である。”(前略)ご来館のお客様にはマスクの着用をお願いしております。マスクの着用にご協力いただけないお客様は入館をご遠慮ください。飲食時以外の〜(後略)”スミマセン。そそくさとその場を立ち去るのであった。

画像出典:Marcin MachalskiによるPixabayからの画像