セレスティアル・クルーズのセレスティアル・ネフェリ号

英会話上達における心得

タイトルは仰々しいが、私も英語がペラペラではない。長期留学をせずに20代前半から英語を学び一応英語を使う仕事にまでこぎつけた人の話だと思って読んでいただきたい。
講師を務めるオンライン英会話サービスでは、初めてレッスンを受けられる方も多数いる。
その際には学ぶ時に大切なことをいくつかお伝えすることもある。まずよく聞かれるのはどんな教材を使えばいいかという質問だ。これは本人の英語を学ぶ目的もそうだし、自身の教材の相性にもよるので一概には言えないと伝えている。
英語上達において大切なのは継続である。経験上、残念ながら続けるほかない。教材を選ぶ際にまずは自分がピンときたものや「これが良さそうだ」「これなら続けられそうだ」というものを選ぶのが良い。答えは先生のアドバイスにあるのではなく、常に自分の中にある。

また、日常において英語に触れる時間があると尚良い。英語の技能はSpeaking, Writing, Listening, Readingの4つに大別される。学ぶ方によって重視する技能は異なる。
仕事では英文メールやり取りや書類を読むことが中心の方であれば、わざわざオンラインレッスンを取る必要はないかもしれない。日常で自分の好きな話題や趣味に関連する記事を読んだり、良質な英文ニュース(BBCニュースなど)を読むだけでReadingの向上になるし、仕事での英文メールのやり取りを続けるだけでもWritingの向上に一役買うだろう。
逆に仕事で急に英会話が必要な方は話す量を増やすことが優先となるので、オンライン英会話レッスンを日常に組み入れることは有効だ。

次のポイント。それは英語を英語で学ぶことだ。英語に触れている時やレッスン中は日本語に触れる時間は少なければ少ない程良い。会話をする時であれば日本語を介する時間をなるべく短くする。もちろんいきなり英語を英語で話せと言われるのは酷な話である。そこで私が常々生徒さんには「まずは口から出まかせぐらいの気持ちで話してみましょう」と伝えている。まずは単語だけで繋げて話をしてみても良いし、自分の知っている簡単な形、例えば”I want to ~”といった表現を多用するでも良い。また、映画を観ていると分かるが実は簡単な表現が会話の多数を占めている場合が多い。

私達が日本語を話す時を思い浮かべて欲しい。日常会話であればあまり考えずに話していることが分かると思う。つまり英会話中もあの状態に近づけることが上達におけるコツで、考えずに話すにはどうすれば良いかという観点で練習することは非常に大切だ。
日本にはまだまだ「完璧に話さなければいけない」信仰や「失敗したら恥ずかしい」メンタリティが根強く残っている。これは元々私達の持つ国民性や読みや文法といったインプット偏重の英語教育の賜物であろう。英語圏ではない他の国々の人と英語でコミュニケーションを取ると分かるが、文法も発音もさほど気にしている様子はない。あるインドの方はmotherを”マザル”と発音する。

言語でまず大切なのは言いたいことが伝わることだ。別に英語が話せなくても、知っている単語やジェスチャーを組み合わせれば伝わったという経験をお持ちの方は多いと思う。つまりアラビア語にしろネパール語にしろ、まずは伝わることが大切なのだ。

失敗を積み重ねることが非常に重要だ。失敗とはネガティブな響きだが、失敗は成功のもとである。日本人は英会話において失敗を恐れる気持ちがより強い様だ。このことは”英語を速く間違えなさい”という本にも書かれている。著者はニュージーランドの語学学校で英語講師を15年間つとめたそうで、、世界中から集う生徒達を教える中で日本人の生徒が他の国の生徒たちと全く違うと気づいたそうだ。それは「間違いを恐れる」ことだそうで、他国の生徒達は間違いを恐れるどころか進んで間違いをおかそうするのに対し、日本人は間違いを避けようとする傾向にあったそうだ。つまり積極的に発言していなかったのだろう。どちらの習得速度が速いかは想像に難くない。
失敗の機会を得られるのは日本語を伝わる講師と伝わらない講師、どちらだろうか。

英語しか伝わらない環境に身を置いてああもない、こうでもないともがきながら伝えようとすることは習得速度を速めるだろう。自身もクルーズ船勤務時、拙い英語で伝えようとした経験でSpeakingが伸びた実感がある。だから生徒さんにもできる範囲で日本人講師の割合を減らしましょうと話している。
NOVA、プログリット、イーオン、オンライン英会話サービス。どこで学ぼうとも学習の原理原則は同じだ。近道がないというのはその分苦労しながらも、やり甲斐のあるものだ。
ある時急に成長を感じる瞬間。これには代え難い喜びがある。